*空中飲茶飯店(上下)
かまたきみこ 朝日新聞社
朝日新聞社からの出版は嬉しいですね。中国茶が絶対的な価値を持ち、未知のエネルギーを使った羽が最も高速で重要な交通手段になっている。この世界では茶を運ぶ茶運師が憧れの職業であった、という世界を舞台にしています。一見私たちの世界と全く縁がないファンタジー世界を舞台にしているようですが、実は私たちの世界のあり得る未来を描いています。茶に価値が与えられているのは、温暖化が進み環境の荒廃が進んだ未来において、金銭に代わる価値を持つものはなにか、と言う問いを考えた結果なのですね。市場経済と化石燃料の消費という現在の社会の基本的構造とは違った世界を模索した結果、この社会は作られているのです。そして新しく作られた社会が理想的なものかといえばそんなことはなく、秘密を守るため、権力を守るため、幽閉される人達がいます。主人公はそんな人達のために飛ぶのです。いやー、現在の社会に対してアイロニカルな視線を向けるだけでなく、その先の世界に対しても批判的な視線を向けるとは、もっと深いレベルからの文明のありかたの問い直しを迫るとは。読みづらく、展開が追いにくい面があるのは否めませんが、それ以上の重要な特徴をこの作品は持っています。
*町でうわさの天狗の子(1)
岩本ナオ 小学館
「天狗の娘が主人公で…」と切り出すと、「どんな話じゃ」と面食らうこと間違いないでしょう。いやホントに天狗の娘が主人公なんです。ただ天狗の娘とはいえ見た目は普通の女の子ですし、目下直面している最大の問題は、高校に進学して好きになったタケルくんのこと。そして家を継いで山を守る天狗になるのか、父の弟子で幼なじみの瞬ちゃんとの関係をどうするのか、といった問題も降りかかってきます。現代的というか、むしろ懐かしいタイプの少女マンガですね。
*探偵奇譚 石黒正数短編集
石黒正数 徳間書店
石黒正数のクレバーにして力強いところは、紺先輩という強力な萌えキャラを脇役にして、たまーにしか萌え要素を出さないところだと思いますね。いつもモエモエしているキャラは食傷してしまうもの。ここぞというところで萌え要素を出すから、強度が増すのです。
*大奥(3)
よしながふみ 白泉社
日本という歴史・社会において、女性が支配する社会はどのように成り立ちうるのか…という思考実験は着々と進行中です。家光の懐妊、春日局の死を経て、家光と有巧の支配体制は固まっていきます。いやー、企んでますなあ!
*青春の病は
西田東 芳文社
こちらをご覧ください。
*素晴らしい失恋
西田東 竹書房
こちらをご覧ください。
*ささめきこと(1)
いけだたかし メディアファクトリー
ハンサムガールの純夏はクラスメイトの汐がずっと好き。汐は「かわいい女の子が好き」と公言してはばからないけれど、純夏の気持ちには気付かず、ノンケだと信じて疑わない。純夏の恋の行方は…という作品です。純夏は汐の親友という位置を得ていますが、そうであるためにそれ以上進めないというジレンマを抱えています。ままならない思いがいいですな。2話以降オタクネタが多くなって、男性向けっぽい展開になっていきますが、基本がぶれてないので安心して読めます。そうですよね、男性は精度の高い百合を描けるんですよね、BLを描く男性はまだまだ少ないんですが。
*モデルグラフィックス 2008年2月号
大日本絵画
ユニコーンガンダムを前面に押し出したくないのは分かりますが、これだけ多くの種類が発売されているガンダムをスクラッチするのは、読者を選びすぎじゃない?
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