かいやたつみ「レンズ越しの微熱」
タケオ(黒髪、メガネ)は今をときめくIT社長。メディアにもよく登場し、住んでいるところは超高級マンション。ところが本当の姿は超ヘタレで、ずっと好きだった同級生フミちゃんを本気で誘うこともできない。フミちゃんはフミちゃんでタケオとの腐れ縁を感じているが、自分のことを根っからのヘテロと思いこんでいるために、タケオのアタックを拒絶するばかり。ところがフミちゃんの弟ショーゴが仲立ちをするようになり、またタケオ狙いの業深OLが現れると、二人の関係はぎくしゃくしながらも進展していく。「Hearts」に掲載された連作。
「ヘタレ」と「メガネ」はそれぞれでもたいそう美味しく召し上がれるものですが、それがセットになっているとなると…そういう属性を持っている人にとってはもうタマラヌものがあるでしょうなぁ。ヘタレメガネのタケオをニラニラしながら見る、というのが基本的な楽しみ方でしょう。タケオはヘタレなんですが金だけは持ってますから、フミちゃんの歓心を買うためにとんでもない行動に出たりしますし、フミちゃんと会わないと、それだけでヨレヨレになってしまいます。そのズレっぷりも見所といえましょう。
その一方でフミちゃんは最初のうちはまったくタケオのアタックになびきません。しかもチャラくてダメ男なんですね。好きな女性のタイプは深キョンだって言ってますし。ただそこで引くのはまだ早いです。「うざい」「キモイ」とか言いながら、実はフミちゃんは最初からタケオに「陥落」しているのです。根っこに安定感があるのが重要なポイントといえましょう。なのでこの作品は安心して読めるのですね。
フミちゃんは、一方でいかにも男性的と思えるジェンダー性を表象しています。セックスした女の数を誇ったり、つきあう女は自分より下がいいとはっきり考えています。ですがもう一方でタケオの求愛をなんだかんだで受け入れてしまいます。実は両者は非常に近いものなのかもしれません、というか近いんでしょうね。セジウィックが言ってるように。で、この「近さ」は男性が常に感じていることでもあるわけです。ですからこの作品は女性のモエを喚起するだけでなく、男性にとっても衝撃力を持っているといえましょう。
大洋図書
2006年12月01日発行
2006年10月25日購入
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コメント
こんばんは&初めまして。
早速TB送らせて頂きましたー。
タケオとフミちゃんのダメっぽい二人の関係に、大変萌えました。
やっぱりへたれスキーにはオススメの一品ですよね、この作品。
おっしゃるとおり、自分をフツーと認識している男性が、驚愕する作品というのもよく分かります。
日常から非日常への転落が、見えづらいBL作品ですもんね。
それではまた、遊びに来ますね。
投稿: tatsuki | 2006年10月28日 (土) 00時55分