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2007年6月 9日 (土)

もろづみすみとも「あかるい家族計画」

あかるい家族計画 (MARBLE COMICS) あかるい家族計画 (MARBLE COMICS)
もろづみ すみとも

ソフトライン 東京漫画社  2007-05
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 高校生の澁谷は、何人もの女の子とつきあってきたけれど、どの子ともしっくりいかず、すぐに別れてしまった。そんなとき澁谷は、駅で偶然黒髪同年代の男の子に出会い、心惹かれる。心揺れる澁谷の前に、次の日その子は現れる。彼は吉住といい、偶然同じクラスに転校してきたのだ。しかも家もすぐ近く。普段の生活の中の何気ない仕草を通じて、次第に吉住が好きだという気持ちを自覚し始める澁谷。距離を詰めようとするけれど、吉住は距離を置いてしまう。気まずい雰囲気の二人だが、ふとしたきっかけで顔が近づいたとき、澁谷は吉住にくちづけしてしまう。「カタログシリーズ」に掲載された澁谷と吉住シリーズを中心にした短編集。

 いやー! もどかしー! 男の子のとまどいが非常によく描かれるんですよ。澁谷ははっきりと吉住が好きになるんですが、自分の思いにとまどいます。自分が好きなのは女の子のはずなのにと。また吉住はゲイなんですが、自分に寄せられた澁谷の思いを受け入れていいものかどうか悩みます。自分の性癖のために、これまで何度も傷ついてきたのですから。そのため二人は両思いなのになかなか結ばれません。そのとまどいは男性にとっては非常にリアルなものですね。男性は本当は同性に恋心を抱いたり抱かれたりしますが、非常に異性愛コードに縛られていますから。なのでこのもどかしさは、かなりの衝撃力を持って私に迫ってきたのでした。
 もどかしさはまだ続きます。二人は結局結ばれて、一緒に生活するようになります。そこで親にどう報告するか、二人の今後をどうしていくか悩むのですね。これまた非常に生々しい描写といえます。その問題を逃げることなく描いているのですから、これまた衝撃力が強いです。
Photo_29  あと興味深いのは、「だって男の子だもん」に、女の子の裸が出てくるところですね。彼氏ができて、もう一緒に暮らしている男の子。でもセックスはまだ。飲み会の時に女の子に誘われて、女の子とセックスしてみようとする。でもいざ入れようというときに出てくる名前は男の子の名前という展開です。BLに女の子の裸っていうのは、ほとんどタブーといってもよかったんじゃだったんじゃないでしょうか? しかもこの女の子の裸は、かなりリアルに、エローく描かれます。BLの文脈から見れば意外というか、そぐわない表現とさえ言えるかもしれません。ですがこの作品ではそんなことはないのですね。絵柄がこれまでのBLとは違っているというせいもあるのでしょうが、やはりリアリティがあるためにすらっと読めるのですね。だって男の子ですもの。性欲に負けることだってあります。それがまた男の子二人の関係を立体的なものにするのです。

 J庭で買った「だって男の子だもん」がえれえよかったもろづみすみとも。「カタログシリーズ」での活動もチェックしてきましたが、めでたく単行本にまとまりました。絵も新鮮・独特であれば、お話も非常に巧み。いやー、東京漫画社って、どうしてこういい作家を発掘してくるのでしょう。私も負けないように同人誌即売会に通わなきゃ、と思いましたね。

東京漫画社
2007年6月25日発行
2007年5月19日購入

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