依田沙江美「愛の深さは膝くらい」
神主の息子・石倉はぶらぶらしていたが、親のコネで高校の書道の代用教員として働くことになる。人当たりの良さですぐ人気者になるが、書道部一年でメガネでちっちゃい昴だけは、石倉にツンケンした態度を取る。それは石倉が以前、昴の姉を食ってしまったせいで、石倉のことを「エロい大人」と思っていたためだった。しかし実は石倉に興味津々。以前の姉との関係をばらすと揺さぶりをかけて優位に立とうとするものの、石倉にとってはそんなのすっかり過去のこと。凹む昴を見て、今度は石倉が昴に興味を示すようになる。依田沙江美久しぶりの単行本。
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ギャー! お子様! メガネ! そしてツンデレ!!!
とにかく昴の造形がいいんです。昴は一方で必死に背伸びして大人っぽくなろうとします。石倉の過去を上手く利用して、石倉に対して駆け引きをしようとします。ですがもう一方で、昴はいろんな点でまだ成熟しきってないことを露呈してしまいます。昴は尋常じゃないほど素直じゃありません。消しゴムぶつけたり意地悪したりします。実は先生にすごく興味を持っているんですが、それを認めたくないためと、照れ隠しのために、ものすごくツンケンしてしまうのです。それから友達が買ったコンドームを石倉に売りつけて気をひこうとするのですが、予想より多くお金をもらってつい何に使おうか考えてしまいます。性的なことに妙に潔癖だったり、色気より食い気を優先してしまったりします。つまり昴は、子どもから大人に変化していくまさに真っ最中なのです。情緒も行動も不安定になります。だから強度のツンデレになるのですし、だれかにすがりたくなるのです。こ、これは美味しい! そして昴は、まさにその微妙な時期にいるために、その時期しか見ることができない微妙な美しさを持っています。感極まって泣いちゃったりするんです! ギャー!(声にならない叫び)
まさに昴はこれからなんでも書き込めるタブラ・ラサ(白紙)なんですね。そうであるために、石倉は昴に手を出すのを止められなくなります。こういうあやうい少年に手を出さない人がいましょうや? いやない! と断言したいところです。
一方石倉ですが、基本的にはオトナなので、昴の可愛さを愛でる余裕を持っています。ですがそんなとき昴を好きになる女の先輩が登場します。そのため女を知る前に奪っちゃえとばかりに、石倉は事をちょっと急ぎます。…可愛い外見を持ちながら、石倉の欲望のありかたはなかなかえげつないものがありますねえ。今後児童ポルノ法に漫画が加わり、内容規制もかかるようになったら、アウトになっちゃうかもしれません。ですがこのえげつなさがあるために、物語の強度も萌え度合いも強烈になっているといえるでしょう。
男の子の意地っ張りなところ、でもまだまだ子どもなので弱いところ、この作品は微妙な年代の「男の子らしさ」を余すところなく描き出します。京山あつきの「さよならBaby」に非常に近い視線ですね。ともすればリアルからどんどん離れてしまうBL的なお約束を踏まえながらも、男の子の男の子らしさを生々しく描こうとするのですから。男の子のありのままの姿が好きでなければ、つまり少年への愛が「本物」でなければ、なかなかこうした描写はできないでしょう。そしてその本気っぷりが伝わってくるために、この作品は強烈なパンチ力を持っているといえます。恐るべき作品です。
ただそれはそれだけ「子ども」を生々しく描いているということですので、読む人を選ぶかもしれません。それは萌えがそれだけほとばしっているためなのでしょう。いずれにせよ強度が強いことには変わりありません。
依田沙絵美の久しぶりの作品ですが、まったく衰えていないどころか、さらに切れ味を増していたのでした。続編もあるということですから、これは次が楽しみです。
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芳文社
2008年4月15日発行
2008年3月30日購入
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コメント
こんばんは、たいまつ先生(^-^)/
私は東洋大学の学生です♪今日の授業、凄く面白かったです!!どうもありがとうございました。
このブログも、とてもためになりました(・ω・)/私は、まだ他の腐女子の子と比べてあまりBL漫画を沢山は読んだ事がないので、ここで紹介されているものを是非読んでみようと思います。
次の更新も、楽しみにしています♪
追伸
一応、私の運営しているBLサイトのアドレスを、入れました(^-^)/携帯サイトなのですが、もしも気がお向きになったら、ご覧になって下さると幸いです。
投稿: 十六夜 | 2008年6月25日 (水) 20時51分