たうみまゆ「隅田川心中」
熊田は落語家の卵だったが、破門されていまは町の不良グループに属している。頭はいいしケンカも強く、周囲から恐れられているが、なぜかナンバーツーに甘んじている。そんな熊田に惚れるのは、小卒で字もまともに読めない大川。物事は知らなくても、熊田に対する思いは一直線だ。熊田も大川も、なぜ不良グループに属しているかというと、そこが数少ない居場所だから。同じ境遇にあることを知った二人の距離は急接近する。脱法ドラッグを扱うことを知った熊田は、グループを抜けることを決意する。「カタログシリーズ」に掲載された短編を集めた、著者初の単行本。
![]() |
隅田川心中 (MARBLE COMICS) たうみまゆ ソフトライン 東京漫画社 2008-09-19 売り上げランキング : おすすめ平均 ![]() Amazonで詳しく見る by G-Tools |
まあいろいろ突っこみどころはあります。そんなに簡単に不良グループから足抜けできるの? とか、一度破門されてるのに簡単に復帰できるの? とか。ストリート不良カルチャーと落語を無理矢理つなげている感があるのは否めません。まあそこは初単行本なので、これから上手くなるんでしょう。
ただBL的には興味深いですね。なんたってオバカ攻ですもの! 大川は小卒でまともに字も読めませんし、九九もできません。ですがだからこそ「すき」という気持ちには敏感で、素直です。これだけでも十分萌えといえましょう。それにこの設定はドラマティックな展開を強めています。大川は暴力団組織の下の不良グループの、さらに最下層に組み込まれ、ひどい扱いを受けていたんでしょう。ですが素直な心を失っていません。そんな大川だからこそ、熊田は心を許し、惹かれていくんですね。二人の今後は困難が予想されます。でも大川のピュアさ、無垢さがカバーしていくんでしょうね。かなりギスギスした話ですが、大川をオバカと設定することによって、救いのある話になっていると思います。
もうひとつ、女性が恋敵として出てくるのも、お話に立体性を与えています。熊田と寝ていたことのあるアヤという女性が出てきます。アヤは不良たちの中で生き、さばさばした性格の持ち主なんですが、自分に興味を持ってくれた熊田に惚れてしまいます。熊田と大川が恋人関係になったことを知って、表面的には「キモ」とか言っていますが、内心気が気じゃありません。結局アヤは熊田と大川の絆の強さを知って、二人の関係から撤退します。BLのお約束のひとつに、男同士がデキるのは当然、デキてからの二人の関係は最強、というものがあります。これはもうお約束になっているので、ケチをつけてもしょうがないかもしれませんが、本来ならドラマの核になるはずのものです。この人はそこにメスを入れているのですね。女性をからめることによって、男二人の関係の強さを「わかる」ものにしているのです。最近流行りの手法ではありますが、物語を非常に強めていると思います。
お馬鹿な作品も描いていますが、ワカモノ、不良のざらついた感触も得意としている様子。次はざらっざらの作品も期待したいところです。
東京漫画社
2008年10月20日購入
2008年10月15日発行
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)

















![: サイゾー 2008年 12月号 [雑誌]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51R91so2l4L._SL75_.jpg)









最近のコメント