日の出ハイム『春の雨に濡れてゆけ』
早乙女は大手商社の入社5年目のサラリーマン。入社して、同じ中学出身の大越と再会する。大柄で、人なつっこい笑顔の大越は、中学の頃から野球部のキャプテンで、人気者だった。それはいまでも変わらない。早乙女はそんな大越を、中学の頃から好きで、いまでも目で追っている。そんなとき大越は実家の寺を継ぐため、退社することになる。送別会の時、思いを告げようとするがはたせず、早乙女はへこむ。もう顔を合わすこともないとあきらめていたが、大越と社員証を取り違えていたことがわかる。もう切れたと思われていた大越との関係は、再び結ばれていく。リーマン二人の恋を描いた作品。
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なんといっても、早乙女の秘めた恋の描写がいいですね。男を好きになってしまった早乙女のとまどい、後ろめたさがよく描かれているんですね。社会人になって、隠さなくてはならないという思いはいっそう強くなります。でも大越が好きという気持ちは止められません。この葛藤!
一方、大越は早乙女の思いを見透かすような行動を取ります。「オレに気があるのか」とか。実は社員証も、こっそり大越がすり替えたのではないかと思わせます。実は大越も早乙女を思っていたのですね。ところが早乙女は、それを信じていいのかどうか迷います。向こうもこちらの思いに応えてくれそうだ、でも男同士だし、罠かもしれないし、もし失敗したら関係修復は絶対無理だし…ということで、早乙女は迷いまくります。この迷いがいいんですよ! これは世の男性も結構感じる、馴染みのある迷いなのではないでしょうか。ですから男性にとっても、かなりズキュンと来ます。男心を揺さぶります!
そしてヒキが強いほど、思いが通じたときの感動は大きいもの。ガッツリやりまくる二人の姿は、浅ましいほどなんですが、それはそれだけ二人の迷いや葛藤が大きかったことを示します。祝福したくなるわけですよ。ちょっとうらやましさも感じますが。
ムキムキガッチリの肉体描写も魅力。後半は少々絵が荒れているところもありますが、相変わらず男心をくすぐる作品になっていると思います。しっかり取材して、どんどん新しい題材にチャレンジしているのもいい感じです。今後の作品も期待大です。
廣済堂出版
2009年9月17日発売
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