松本ミーコハウス『テレビくんの気持ち』
蒼太 月9にも出演するようになった人気急上昇中のアイドル。顔はとてもいいけれど、しゃべり方はちょっと舌足らず。圭輔のことが昔から好き。
圭輔 大学生、自分のことをキモメンと思っている。
小泉 売り出し中のアイドル。本当は身の回りの事は全部自分でできるのに、マネージャーのうっちーに甘えて、なんにもしない。世話を焼いてもらう。
うっちー マネージャー。きまじめな性格。
道隆(20歳) コンビニの店長、父が倒れたため若くして店長になる。元ヤンキーのリーダーで人格者。人望も厚い。
須藤(25歳) コンビニチェーンの社員、眼鏡、まじめ。道隆の父が倒れたのは、自分のせいだと気に病んでいる。
…という3組のカップルの、デキる前、デキた後をそれぞれ描いた短編集。
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まず3組のカップルが、ゆるやかにつながっているのがいいですね。圭輔は、道隆のコンビニでバイトしてますし、蒼太は小泉とアイドル仲間ですし。1冊の本が「世界」を作るっていうんでしょうか、人が生活している「街」を舞台にして、物語が紡がれていくのがいいんですね。同じ手法は古街キッカの「洋6K2南向き
」でも使われていましたが、キャラクターたちへののめり込み方が深まります。
それから、それぞれのカップルがデキていく過程がいいんですね。どのカップルもフェロモン系とコンプレックス系のカップルです。受の人たちは、自分に自信がなかったり、過去にトラウマを持っていたりして、自分にも相手にも素直になれないんですね。「あんなすごい人に自分はそぐわない」と思ったりしています。だから自分から別れようとしたり、恋心をなかったことにしようとしたりするんですよ。このいじけっぷり!
フェロモンの人の方がコンプレックスの人のことを好きなので、手を伸ばせば恋は手に入るんです。ですが心がいじけちゃってるんで、自分から手を引っ込めてしまうんです。これは恋に慣れてない男性が結構やっちゃうことで…ですから男心をズキュウンと刺激するんですよ。そういや私もこのいじけモードが長かったですしねー。それを端的に示しているのが、受のメガネです。受は3人ともメガネなんです! メガネは外界からの防御壁。直接現実世界に触れるのがつらい、コンプレックスを持った人の必須アイテムです。受のメガネ君っぷりには、もうドキドキですわ。
まあそうした難儀な受が集まっているのですが、なんとかカップルは成立します。それは巧みな心理描写のためでしょう。<赤面>が実に効果的に使われているんですね。それが雄弁に男の恋心を語るんです。あとはうるうるお目々も効果的に使われます。これがキクんですわ! 恋愛を怖がっている受も、相手の本気を受け止めざるを得なくなるんです。
心理描写の巧みさは「みどりのまきば」でも見た通り。作風の広さにもほれぼれしてしまいます。マンガの神に愛されてるなあ、とつくづく感じます。これからの活躍が本当に楽しみな作家さんです。
幻冬舎コミックス
2009年4月24日発行
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