林家志弦「ストロベリーシェイクSweet」1
タレント事務所に所属する樹里亜は、同い年の新人タレント蘭の世話を任される。最初は渋る樹里亜だが、直接会った蘭は樹里亜のモロ好み。最初はキスしたい、抱きしめたいと思うだけだが、その気持ちが恋だと気づかされてしまうと、後は突っ走るばかり。寝ている蘭にチューしようとしてみたり、蘭のエプロン姿に鼻血を吹いてみたり。ところがいざ二人で泊まることになると、寝ぼけて抱きついてくる蘭に指一本出すことができない樹里亜。
いま私はめちゃくちゃ興奮しているのです。いやー、パーちゃんはやっぱり激・本物でした。まんだ林檎の『画面の告白』で、林家志弦はレズとして描かれていましたが、ギャグでもなんでもなくて、もうド直球じゃあないですか。「電撃大王」で絶賛連載中の『はやて×ブレード』も、百合全開の作品ですが、こちらの方が純度が高いです。そしてなによりめちゃくちゃ面白い! 突っ走りまくる樹里亜の姿は、笑えるだけでなく、見ていてとても気持ちいいものです。なんたって熱血なんですもの。「らんらん好きだー!」という樹里亜の気持ちは、島本マンガのように燃え上がります。かといって島本マンガほど暑苦しくなく、ちゃんと女の子らしい柔らかさも忘れません。マンガを読んでこんなに興奮したのは久しぶりです。「ハチクロ」の第1話を読んだときのことを思い出します。
で、この作品は基本的に女の子しか出てこない、激百合作品なんですが、いわゆる「レズ」という感じじゃないんです。レズという言葉が持っている、どことなく後ろ暗い雰囲気はなく、「きゃーかわいー」という感じなんですね。「好き」という気持ちも、のめり込んだり、縛りつけたりといった、暗さをともなったものではなく、「理由はよく分からんが好きだー」という、高揚をともなったものです。たとえていうなら、「スキスキスーフワフワフー」という感じでしょうか。すごく明るくてすかっとしているんです。ですが胸がキュンとなり、萌えをともなうところはやっぱり恋なんです。
この恋は、ボーイズラブによく出てくる「好き」の気持ちと、とてもよく似ています。それまで友だちだったアイツの可愛さに気づいちゃって、ドキドキして眠れなくなる男の子の気持ちと、ほぼ相似形といえるではないですか。そう、ですからこの作品は、形式こそ百合作品ですが、内実は「魂のやおい作品」といえるのです。
そしてこのことから、ボーイズラブというものが、どこから生まれてくるかということが見えてきます。ひとの中にある乙女心が、かわいいものやかっこいいものに対してヅキュンときて、ドキドキして、それを好きになっていく。こうした心の動きが、ボーイズラブという一大ジャンルの背景となっているのです。もちろん好きになる対象は男でも女でもかまいません。加えていうなら、この心の動きを生み出すのは「乙女心」であって、乙女心の持ち主は男でも女でもかまわないのです。
マンガとして上手いのに加えて、ギャグも充分。そしてやおい心の根源を示唆する内容。これは興奮しないではいられないではないですか。一年初っぱなから、でっかい衝撃を受けた作品です。
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一迅社
2006年2月1日発行
2006年1月17日購入
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