阿久津柑子「王子殿下のご奉仕猫」
18歳になったハルは、王族の掟に従い隣国に身分を隠して留学することになる。しがらみにとらわれないので、ハルはやんちゃする気満々。ところが入学そうそう、猫耳・尻尾つきの男の子・クロに抱きしめられ、キスされてしまう。思わず手を出してしまうが、どことなく懐かしい気持ちになるハル。一方クロは学校一の不良と目されていたために、ハルは不良たちの争いに巻き込まれることになる。ボコボコにされるハルを助けに現れたのはクロだった。「BOY'sキッス」に掲載された作品などを集めた、阿久津柑子の初単行本。
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この人の作品を始めて雑誌で読んだときは、ずいぶん興奮したものです。なんたって男の子がベリーキュートなんですもの。大急ぎで同人誌も買いそろえましたとも。
かわいい少年を描く作家は大勢います。CJ Michalski、タカハシマコ、みなみ遙、宮下キツネ、深瀬紅音、などなど。思えば私はBLを読むにあたって、そうしたかわいい男の子をずっと求め続けてきたのでした。最近はBLすれしてきたせいか、オヤジとかキンニクとかヒゲとか体毛とか、そっちの方を重点的に読んできたのですが(そういう作品が多く出版されるようになってきたこともありますが)、改めてこういう超弩級スーパーキュート男の子を見ると、自分の原点がどこにあるかを思い知らされますね。私は少年が、それも可愛い少年がだーい好きだったんですねえ。
で、この少年の可愛さというものは、なんだか独特の進化を遂げてきたもののように思いますね。なんたって現実世界には、こういうショタBLで描かれるような可愛い少年は、ほとんど存在しないのですから。少年の可愛さそのものは、どんな男の子にも少しずつは存在すると思いますけど。そうした少年の可愛さが濃縮され、キャラクターに結晶したものが、こうしたショタキャラであるように思いますが、その「濃縮」がどのように行なわれてきたか、どうした作者の気持ちがこの「濃縮」につながってくるのか、ちょっと考えてみる必要がありそうですね。それはなぜ私はショタがこんなにも好きなのか、という理由を明らかにするでしょうし、男性の中に少なからずショタ愛好者がいることを明らかにするでしょうから。
もう一つ衝撃的なのは、掲載誌がマガジン・マガジンのせいか、セックス描写が実に汁気たっぷりでねちっこいということですね。可愛くさわやかな絵柄なのに、やることはものすごくねっとりしています。少年がちっちゃかろうが可愛かろうが関係なし! やることはやる! という姿勢が貫かれています。確かに絵柄とはあまりマッチしていないように思いますし、リリカルな展開もできそうな人なので、ちょっとやりすぎかなとも思います。ですが可愛い少年がさんざんにやられちゃうというのは、それはそれでクルものがあるわけでして。
エンターブレインからの出版は、エンブレの雑誌に載るとか、作品が単行本にまとめられるといった、今後の布石なんでしょう。次の作品が実に楽しみです。今度はもっとリリカルなものをお願いしたいところです。
エンターブレイン
2008年2月27日発行
2008年2月21日購入
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