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山田典枝/よしづきくみち「魔法遣いに大切なこと 太陽と風の坂道」1巻

 アニメではさんざんに馬鹿にされ、「電波脚本」と哄笑された前シリーズ。よしづきくみちの萌え度が高く柔らかいCG絵と、たどたどしい東北弁をしゃべらされるユメ役の声優・宮崎あおいは評価されましたが、全体的に思い入れが激しすぎる脚本のため、漫画版とアニメ版とセットで、かなりアレであるとされてきました。いや私はどっちもかなり好きですが。特にアニメ版はほほえましさも含めてテレビにかじりついて見てましたが。
 そんな状況だったので、かなり今さら感の強い作品であるために正直期待していませんでした。ところが実際読んでみると結構よくできているではないですか。やっぱり脚本はテレビドラマ的というのでしょうか、ご都合主義や起伏の強すぎるところが目立ちますが、よしづきくみちの絵が繊細であるために随分違和感なく読めます。キャラクターの造形が非常にくっきりしているところと、キャラクター間のいがみ合いも含めた関係を描き出しているところは、ほかの漫画と比べても優れているといえると思います。そしてなにより「方言萌え」であることがわかるのですね。前シリーズ、特にアニメは、ユメが東北弁をしゃべるところが萌えだったのですが、この作品では全編長崎弁で一貫しています。よしづきの描く萌えキャラが長崎弁をしゃべる、というところで萌えるというのはあります。ですがそれだけでなく、全体的に方言を使うこと自体に快楽が感じられるのですね。おそらく原作者山田典枝は、強度の方言フェチなんでしょうが、半ば鬼気迫る域まで達しているように思われます。ですから「いいなぁ…」と思えてしまいます。

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小田扉「江豆町 ブリトビラロマンSF」

 「クイックジャパン」に連載されていた作品。どこにあるのかよくわからず、独特の文化を持つ町、江豆町。そこに暮らす人々、入り込んで困惑する人、ひそんでいるよくわからないものを、非常にドメスティックな例のタッチで描き出しています。
 すごく面白かったのが、この町には地図がない、というエピソード。普通地図というと道路を書き、方角を書いて、ランドマークを書いていくものですが、この町の人が描く地図はみんな主観的な、自分の心理的認識を描いたものなのですね。学校と自宅の間にはいつも犬が寝ています、ということしか書いてない。私たちの世界の常識からすれば非常に困ったものなのですが(実際エピソード中では外から来た新任の先生が大弱りする)、この町ではいい加減な地図の方が正しいのですね。作中では「やさしい地図」と言われていますが、内的心理世界に映し出されるものの方が、つまり人間にとって心理的になじみやすい、「やさしい」ものの方が、正しいとされる世界になっているのです。そしてそのロジックがわかると、この作品全体を貫くものが見えてきます。
 ひいては、小田扉という作家が目指しているものも見えてくるような気がします。小田扉と言えば、これまでどの作家とも似ていない、独特な方法論で作品を描いてきました。それは「シュール」と呼ばれたり、「不条理系」と呼ばれたりもしてきました。でも実は単なるシュールなのではなく、しっかりとしたロジックがあるのではないでしょうか。合理性や効率といった尺度では「よくない」ものとされていますが、実際の生活や、人間の内面では「よい」と感じられること、それを描こうとしているのではないでしょうか。そう思うと「としごろとしこ」や「ゾンビママ」が目指すところが見えてくるように思います。

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外薗昌也/別天荒人「ガールフレンド」1巻

 「ヤングジャンプ」連載中の作品。いわゆる「彼女」という関係とは少し違った女の子との関係を描いた連作になっています。なんだか不思議な感じがしますね。女の子とつきあう、ということは、多くの場合安定した二人きりの関係を作り出し、関係が深まってくればセックスして、二人で思い出をつくって…ということになりがちです。ですがこの作品は、セックスから始まる/セックスからしか始まらない関係を描いたり、単に好きとか嫌いとかといった言葉では割り切れない関係を描いたりと、非常に一筋縄ではいかない関係を描き出します。紋切り型に収まらず、あり得る関係の可能性を描き出しているという点で、非常に興味深い作品といえます。別天の絵のキュートさも相まって、人気があると聞きますが、よくわかるというものです。
 ただ、正直別天荒人を使うのはどうかな、と思いますね。外薗の正統派ともいえる端正な絵では、この作品の「開いた」感覚は出せなかったでしょうから、現代風の綺麗な絵を描ける人に絵を任せたのは正解だったでしょう。ただ、別天の魅力は、「プリンススタンダード」や、現在ブレイドマサムネで連載中の「ハルカゼBITTER☆BOP」に見られるような、ハジケたドライブ感にあると思います。マイペースなキャラクタがデタラメをやっているうちにオハナシがごろごろ進んでいく、ここに別天の魅力があると思うのですね。そしてそのドライブ感は、ゴツボ☆リュウジと少し重なりはしますが、別天にしか出せないものですし、現代的なものです。別天を原作付き作品に使うのは、きわめてもったいないと思うのですね。別天ならではの作品を描かせた方が、ずーーーーーっと実りあることだと思います。

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Scale Aviation 7月号

 普段は買わない飛行機模型の専門誌ですが、今回だけは買わないと。Sweet社の144分の1零戦21型がおまけについているのですから。ワールドタンクミュージアムのヒット以来、144分の1の模型は戦車、飛行機を問わず活発化していますが、Sweet社は食玩でもガチャポンでもなく、インジェクションキットで勝負しているのですね。この会社は、Mc200サエッタ(…)、ハリケーンMk1(…)、GM FM-2(ワイルドキャットをジェネラルモーターズで作ったもの、…)と、マイナーな機体ばかりをリリースしてきましたが、どれも出来は超絶に良いときてます。そしてここにきて大物ですから。まだ組んではいませんが、期待できるというものではないですか。
 もう一つSweetの特徴には、ふじたゆきひさのイラストを箱絵に使うということがあります。ふじたゆきひさといえば「プラモのモ子ちゃん」で大活躍の80年代作家、という印象がありますが、なかなかどうして現代的。いまの「萌え」状況でも通用する…というよりは、「萌え」を先取りした作家であるといえるでしょう。「ぷに萌え」は、この人とここまひがいなければ成り立たなかったのではないか?なんて大げさに考えてみたりしています。

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イダタツヒコ「美女で野獣」5巻

 女子高生がガッチガチでゴッチゴチのバトルを繰り広げるこの作品も早くも5巻。もうお話がゴロゴロ転がりまくって気持ちいいことこの上ありません。今回面白かったのは、アカネちんが薬を盛られて怪しいアジアの国に連れて行かれる話と、魔女っ子にさせられるお話です。前者は、80年代香港クンフー映画に対するオマージュ(ていうかたちの悪いパロディ)があふれまくり。EDがNG集になっているというオヤクソクは、あの頃を生きていたものとしてニヤニヤしっぱなし。やっぱりイダがやりたかったことは、香港クンフー映画のうさんくささだったのだな、と分かって晴れがましい気持ちになったことですよ。それから後者は、悪ノリもここまできたかという感じで、かえってすがすがしく感じます。初めて読んだときには正直手にしていた箸を取り落としたものですが。ていうかもっとやってほしいところ。
 やっぱりこの作品のおもしろさは、アカネが周りのどぎつい連中にめちゃめちゃに翻弄されるという点と、「エロを直接描かないんだけどだからこそエロい」描写に徹しているところにあるんだと思います。もちろん格闘描写の正確さも魅力の一つではあるんですが。悪趣味も突き詰めれば強烈な力。この調子で転がり続けていってほしいものです。

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林ふみの「鋼鉄のガールフレンド」2巻

 「今どきエヴァかよ」と思う人もいるかもしれません。「アニメと違う」と叫びたくなる人もいるでしょう。ですがこれはこれで非常に面白いではないですか。なんといっても「基本構造はラブコメ」という姿勢が一貫しているのが素晴らしいのですね。シンジも、アスカも、レイも、あり得たかもしれない状況で、あり得たかもしれない楽しい学校生活を送っています。アニメ最終話で示されたように。そしてそれぞれのキャラクターは、ラブコメの掟に従い、惚れたハレたを繰り返していきます。まずそこでニヤリとしてしまうというものです。ラブコメはそれ自体で青春の甘酸っぱさを醸し出しますから。また、そのラブコメ構造は、それぞれのキャラクターの造形を非常にくっきりとしたものにします。なんといってもアスカの生き生きとしていることときたら! 私は放送中からアスカ萌えだったのですが、この作品で改めてアスカ萌えを再確認した次第です。
 そして、そうしたほのぼのとした状況を作っておきながら、アニメと同じ苛烈な状況が彼らを襲っていきます。これからは生と死が直接描かれることになるでしょう。なんと意地悪な展開! 基本がラブコメであるからこそ、より残酷な展開が予想されるではないですか。それをどこまで描くか、実に楽しみなところです。やっぱり「ASUKA」を毎回買わなきゃな、と決意した次第ですよ。
 それにしても驚かされるのは、「エヴァ」の現在性が、ほぼ10年たった今でも、全く薄れていないことです。とにかく苛烈なんですね。人類の望みは次々と潰え、泣きながら使徒を倒し、何とか危機は回避されるものの、それは終わりの時を一時的に先延ばしにすることでしかない。アニメを見ながら本当に戦慄したものです。なぜなら私たちは、現在必死に隠蔽しているものの、実はまさに滅びの淵に直面しているからです。今持って危機は回避されず、より深刻になっています。エヴァの現在性は逆に強くなっていると言えるかもしれません。現在放送中/制作進行中のアニメにもこうした「時代と切り結ぶ力」を期待したいものですが。「プラネテス」にはあったと思いますが。

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軽い気持ちで

「書かないライターは存在しないのと同じ」という言葉を胸に刻んで書いてきたのですが、肝心の自分のWebを更新しなくなってはや10ヶ月。すっかり存在が消えてしまいそうな案配です。そこで今流行りのblogなら大丈夫かなと思い、やってみることにしました。さてさて、どこまで続くことやら。

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