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トミノ吠える2

 今日は午後2時まで仕事だったので、漫画史研究会には行けませんでした。韓国のオタキングと名高い方が来られるということだったのですが、仕事では仕方ありません。…まったくファッキンな仕事だこと!

 ですが仕事終了後は恵比寿の写真美術館に急ぎました。「第9回文化庁メディア芸術祭」の優秀作の展示が始まり、受賞者を交えたシンポジウムに富野由悠季監督が出るというのですから。デジタル・ハリウッドでの「萌えてはいけない。」というイベントで生トミノを見て以来、2回目の生トミノということになります。

 シンポジウムの登壇者は、短編部門の優秀賞「flowery」の作者、橋本太佑と、奨励賞「seasons」の作者、藤田純平でした。後者は一昨年、吉祥寺の学生アニメコンテストで高い評価を得ていた作品ですね。くるりの「Mind the Gap」を使っていたのでよく覚えています。内容はシンポジウムというよりは、トミノ監督が二人に技法などを尋ね、その答えから現状に対する問題提起をしていくというものでした。メモにとったものを少し書き出してみましょうか。(以下メモ書きをもとにしているので、実際のニュアンスとは異なることがあるかもしれないことをご注意ください)

*ひとりでアニメを作ることも可能になったが、スタジオワークもまた重要ではないか。自分にはない要素を取り入れていくことができるのだから。

*スポンサーの意向などの規制は大変なものではあるが、規制があるから面白さが出てくる。映像作品を作る上で入ってくる素人の意見は、これはよい課題となる。モチベーションを高めるきっかけとなる。

*アニメーションを作るための技法は非常に多くなった。次に探していくべきは物語性。アニメは絵空事だけはない、リアルなことも発信できるようになっている。またアニメと実写の境界もなくなっている。その中で、物語性をどう表現していくかが課題になる。

*世間に対して発表していくものなら、受け手を考えたものである必要がある。作りたいものを作ればよいというものではない。「公」に対して発信していくものであるという自覚を持つ必要がある。公に対して発表していくという意識を忘れなければ、デジタルはいいツールとなる。

 四点目は、前回のデジタルハリウッドでもしきりに繰り返していたことでしたね。トミノはまあいろんな点でメチャクチャな人ですが、「公」に対してなにを発表するか、なにを表現するかについては、自覚的な人だったと思います。今回もまた「メカだけアニメ」「萌えだけアニメ」について吠えたのですが、その背後には、この「社会とつながっている意識」があるのでしょう。社会とのつながりなくして作品なし、これは短編作品を作る上で足かせになる可能性も持っているとは思いますが、まあ忘れてはならない要素であることには間違いありません。

 それにしてもトミノの焦りというんでしょうか、現状に対する「これではいけないんだ」という思いは、相変わらず強く感じることができました。登壇者二人がオトナな、周囲の圧力を考えざるをえなかった発言をしたこともあって、煽ること煽ること。「もっと志を持て!」といった意味の発言も飛び出して、非常にスリリングな1時間だったのでした。

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