「オタク女子研究」の注目すべき点
非難囂々の「オタク女子研究」ですが、いくつか注目すべき点があるのは事実ですね。まずは興味深い指摘になっているところを挙げてみましょうか。
・萌えと恋愛とは別腹(43ページ)
・30代半ばより下の世代は「モテないこと」「オタク化する自分」に躊躇しない(54ページ)
・女子オタクはコミュニケーション志向が強い(121、123ページ)
・女性がオナニーの話をしないのは、自分のナルシズムを隠したいという羞恥心を持っているため(148ページ)
・BLややおいは女性読者にとって感情移入できないもの。だから楽に語れる(156-157ページ)
・腐女子は関心が妄想に向かっているので、現実の男に欲がない(167ページ)
・腐女子は現実に対応するために様々な顔を使い分ける(213ページ)
それから、現在のストレスフルな現在の競争社会を生き抜く「ワザ」として、腐女子的な「楽な」生き方を提言しているところが興味深いところです。高望みをするのではなく、得られないものを得ようとするのではなく、身近な萌えに目を向けよう。このメッセージは、苛烈さを増していく現在の社会において、有効に響くものといえるでしょう。「腐女子というものはこういうものだ」と、腐女子像を非常に単純化しているのは、このメッセージを伝えやすくするためだと解釈することができます。随分寛大な解釈という気もしますが。
もうひとつ、恋愛資本主義に対する対抗になっているところも見逃せません。恋愛資本主義は男性にも女性にも「恋愛偏差値」をつけ、偏差値の大小によってその人の恋愛市場における商品価値が決まってきます。そして偏差値と収入は正の相関関係にあります。特に女性はランク付けや競争にさらされて、強いストレスを感じるでしょう。この本はそうしたガチガチのヒエラルキー構造から外れて、萌えで自己充足していこうと主張しています。恋愛資本主義は私たちの社会を強く規定しているものですから、この主張はみるべき点があると思います。
加えて、セックス至上主義を批判しているのも注目すべきところです。恋愛資本主義は結局、男性にとっては「いかにいい女とセックスするか」、女性にとっては「いかに経済力や社会的ステータスが高い男とセックスするか」ということに収斂していきます。それが恋愛資本主義に強い魅力を与えているのです。ですがこの本では、その構造は空しいことだとはっきり指摘しています。これは現状に対する批判力を持っているといえるでしょう。
とまあ、競争社会や「恋愛資本主義」に対する批判となっている部分は、素直に注目していいのではないかと思います。ただ、「恋愛至上主義」についてはどうかというと、はっきり言ってグダグダです。「恋愛資本主義」と「恋愛至上主義」に対するスタンスの違いと深刻な自己矛盾は、この本が抱える問題の重要な原因になっていると思います。これからは、この本の問題点を挙げていきたいと思います。研究会も目の前ですしね!
| 固定リンク

![: すくすくパラダイス 2009年 07月号 [雑誌]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/61Psgnrv-ML._SL75_.jpg)










![: GUSH (ガッシュ) 2009年 07月号 [雑誌]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/61TWDJLlXkL._SL75_.jpg)
![: MAGAZINE BE×BOY (マガジンビーボーイ) 2009年 07月号 [雑誌]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/61RHJ0139VL._SL75_.jpg)


![: YOUNGKING OURS (ヤングキングアワーズ) 2009年 07月号 [雑誌]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/512P2jpPkWL._SL75_.jpg)
コメント